ТРКИ第1レベル受験レポート 〜準備・当日の朝編〜

こんにちは。語学大好きかあさん、マミです。

 

今回から数回に分けて、この夏に受験してきたТРКИの詳細なレポートを書いていきたいと思います。

 

今年初めてТРКИを受けるにあたり、いちばん困ったのは「情報不足」でした。

何しろ日本では年に1回、東京1会場でしか実施していないテストです。

そして、受験定員は全6レベル合計で100人。

それだけ受ける人の少ないテストなので、口コミ情報はほぼ皆無に近い現状でした。

 

受験をするにあたり、対策問題集やモデル問題は割と簡単に手に入るので、対策を打つことはできるのですが、当日どのような雰囲気で試験が行われるのか、また具体的にどんな形式で実施されるのかはよくわかりませんでした。

実際に受けてみて意外に思ったこと、予想だにしていなかったことも色々と起こりましたので、そういうことも詳しく述べていければと思います。

この記事が、少しでもロシア語学習者の方々の役に立てるならば嬉しいです。

 

では、数回に分けて記事を書きます。

今回はТРКИの概要と申し込み、当日に向けての準備(持ち物など)、そして当日朝の集合時の様子までをレポートします。

 

 

 

では、1つずつ書いていきますね。

 1. ТРКИとは

まず、簡単にТРКИの概要から。

ТРКИとは、ロシア連邦教育教育科学省認定のロシア語試験のこと。

日本語での正式名称は「ロシア語検定試験」

ロシア語では"Тест по Русскому языку Как Иностранному "(外国語としてのロシア語試験)

で、頭文字をとって"ТРКИ"となります。

日本語版の公式サイトはこちらです。→ロシア語検定試験 要項・申込書 - 日本対外文化協会

 

日本で行われている公式なロシア語試験としては、これと別にロシア語能力検定試験というのもあります。

こちらの略称は「露検」日本で作られ、日本でのみ行われる試験です。問題文や指示も日本語で書かれている場合が多く(少なくとも2級まではそうですが、1級はわかりません)、日本語の文をロシア語に、ロシア語の文を日本語に翻訳する問題なども含まれます。辞書は持ち込み不可。

 

それに対して、ТРКИはロシア政府が作っている試験ですので、問題文も解答指示も全てロシア語です。

翻訳の問題などはなく、会話や記述問題は「自分の意見を書け/話せ」などの自由記述がメイン。長文要約もあります。辞書は科目やレベルによりますが、持ち込んでいいことが多いです。

また、ТРКИに合格するとロシアの大学や大学院に入学するための公式な認定を得ることができます。

 

露検は、日本国内で「ロシア語これくらいできます」という目安にすることはできますが、合格したからといって国際的な評価を受けることはできません

 

「ロシア語検定」というキーワードで検索すると、上記2つの試験の情報が混ぜこぜになっちゃうことがあるので注意が必要です。

 

で、私が受けてきたのはТРКИの方。今回は第1レベルを受験しました。

 

ТРКИのレベルは、入門・基礎・第1〜第4レベルの6種類。

各レベルの違いについては詳しく述べませんが、だいたいCEFR(=ヨーロッパ共通参照枠。世界の各言語のレベルをだいたい6つの目安に分けようという基準。せふぁーる、と読みます)に沿ったレベル分けになっているようです。

私の場合、独学での学習歴4年で、旅行には困らないくらいの日常会話レベルの力をつけてきたので、第1レベルが妥当だと判断しました。

 

※CEFRの説明はこちら→CEFRで見る英語・外国語検定試験 | 旺文社 英語の友

※ТРКИと露検の各レベルを比較して考えた記事が親ブログにあったので、そちらも参考までに。

ТРКИ対策の語彙集(多言語版)を買いました。 - かあさんは雨女

 

ちなみに私は露検3級を持っていて、これから2級受験にむけて準備を始める予定です。2級の問題を取り寄せて見てみたところ、だいたいТРКИ第1レベルと同じくらいだと感じました。

 

 

2. 受験申し込み

次に申し込みです。

ТРКИは上にも書いたとおり、毎年8月末に1回、東京にある東海大学高輪キャンパスでのみ試験が行われます。

試験日は、今年は8月22日〜25日の間から希望を出すことができます(申込願書に希望日を書く欄があります)。第2レベルより上のレベルでは試験も長時間になるので、2日に分けて受けることもできるようです(これも希望制)。

私の場合、平日は仕事があるので、24日(土)か25日(日)のどちらかにしてほしいと希望を出し、25日にしてもらうことができました。

東京まで泊まりがけで行くことを考えると、日曜にしてもらえたのはありがたかったです(帰りがめっちゃ慌ただしかったけど…これは後述)。

 

申し込み開始は、毎年4月の初旬。

…ということは知っていたのですが、3月末になっても公式サイトの試験要項が昨年度版のままになっているので「今年、本当にやるのかな…?」とちょっと不安になったりしましたが、4月に入った途端にしれっと今年版に切り替わっていました。

申込書をダウンロードして記入し、身分証明書のコピー・顔写真とともに郵送。

ほどなくして申込書受領の書面が届き、そこに書いてあった振込先に受験料を支払います。振り込みが確認され次第、正式にエントリー完了となりました。

 

ただ、気をつけたいのは、試験日程がまだ定まっていないということ。

なんと、試験の日がいつになるかは、8月初旬になるまで知らせてもらえないのです。

土日で希望を出したのに平日にされちゃった…なんてことはまず無いのでしょうが、もしそんなことになれば有給を取らなきゃならなくなるので、ちょっとハラハラしますね。

 

更に言うと、当日の時間割は、当日集合した時に初めて知らされます

それまでは、各科目がどんな順で行われるのか、そして何時に終わるのか、知ることができません。

このため、私は帰りの新幹線の予約を取ることができず、夏休みの日曜なのに座席が埋まっちゃったらどうしよう…とまたハラハラドキドキしました。

(各科目の試験時間(リスニングが35分間…など)は前もってわかっているので、それをもとにだいたいの計算をすることはできるんですけどね…)

家で待っている夫と幼い娘のために一刻も早く帰宅したかった私は、当日最初の試験の後の休憩時間にスマホをポチポチいじり、帰りのチケットをなんと取ることができました。インターネットがある時代でよかった〜。

試験の時間割についても後述しますので、参考にしてくださる方がいれば嬉しいです。

 

 

3. 持ち物のこと

 

さて、受験申し込みを終え、本番に向けて対策を重ねながら8月を迎えます。

日本対外文化協会から正式に、受験票と当日の集合時間、注意事項が書かれた書類が届きました。

当日の集合時間は9時15分。必要なものは、受験票、黒か青のボールペン、そして辞書。

大学の周りには食料を調達できるところがあまり無いので、昼食も持ち込んでおくこと、とありました。なかなか親切ですね。

 

辞書は紙の辞書、電子辞書ともに持ち込むことができます(科目によってはダメなものもあります)。

私は両方持ち込みましたが、特に何も言われませんでした。

 

ちなみに、持ち物のことで絶対に言っておきたいことがあります。

 

電子辞書を使う人は、予備の電池を持っていくこと!!!

 

充電式の辞書の人には関係ないことですが…。

(それでも予備の乾電池に切り替える機能があるものなら電池持っていきましょう!)

 

私は当日、「まあ試験中に電池が切れることなんて、そうそう無いと思うけど」と思いながら、お守りのような気持ちで電池を買っていきました。

そして、朝いちばんの試験の最中に、電池が切れました

 

2ヶ月前に新調したばかりの辞書だったので電池は保つと思っていたのですが、試験前の猛勉強でかなり消耗していたのですね。

紙の辞書は露和辞典しか持っていなかったため、電池が切れたまま作文試験を迎えていたら、確実に撃沈しておりました。

このことは「会話試験編」でまた詳しく書きますが、何しろ電池は持っていきましょう!!!!

 

 

4. 前日

 

いよいよ試験本番です。

当日の朝めっちゃ早起きして日帰りで上京することもできたのですが、もうあんまり無理もできない歳なので(笑)、チビっ娘のお世話を夫に頼み、泊まりがけで東京へ向かいました。

 

夕刻、東京に着き、会場から徒歩圏内にある田町駅前のカプセルホテル(男性専用のものと思いきや、今時は女性フロアなんてのもあって便利でした)にチェックイン。

それから会場まで実際に歩いてみたり(これは必須でした、案の定最短ルートを見つけるのに手間取って道に迷ったので)、夜遅くまでカフェで勉強したり。

この時間があったのは、たいへん有り難かったです。育児をしていると、ゆっくり試験の準備をするにも工夫が必要なんですよね。

 

まあ試験前日にできることなんてたかが知れていますが、ТРКИ公式の第1レベル単語集(むかし親ブログで紹介したもの→ТРКИ対策の語彙集(多言語版)を買いました。 - かあさんは雨女)で単語の総復習をし、これまで書いた作文を見返し、モデル問題のロシア語解説を眺めたりしているうちに夜は更けていきました。

 

※単語の振り返りは大事ですよ〜。 ここで「おっ、久しぶりに見たな」と思った単語が翌日しっかり役に立ちました!

 

 

5. 当日朝、全体説明

 

さて当日です。会場近くに宿を取れたことが幸いし、ゆっくり睡眠をとれたうえで余裕を持って会場に到着。

受付で受験票を見せ、ここで初めて時間割を渡してもらえました。

 

この時間割、「試験が終わったら回収します」とのことで…。あんまり写真とかも載せちゃいけないのかしら?

内容はこんなかんじでした。

 

9:15-9:40  集合・全体説明

9:45- 70分間  会話

11:05- 50分間  読解

12:40- 60分間  作文

13:55- 60分間  文法

15:15- 35分間  聴解

  

……。

 

ビエエエエ!!

のっけから会話(面接)!!!!!

 

(…と、叫んではいませんが)変な声が出ちゃいました。

これでもし会話で撃沈したら(まあ実際、したんですけど)、ボロボロのメンタルで残りの試験をやることになるのか…。

そして、1日の終わりに疲れ果てたコンディションでリスニングかぁ…。。。

 

なんだか暗澹としてしまいましたが、裏を返せば、いちばん心配だった会話をいちばん最初に終わらせることができるわけなので、前向きに考えることにしました。

 

ちなみに、同じレベルでも受験者ごとに時間割は異なりますが、終わる時間は一緒だと思います。

おそらく会場の都合で、最後の聴解は第1レベルの受験者全員が集まっていたと思うので(毎年そうなのかはわかりませんが…)。

 

 

そして全体説明へ。この日のすべての級の受験者が一堂に会します。

まず日本語による大まかな注意事項の説明が始まりました。

初めて知るようなことはあまりありませんでしたが、

 

「複数の人数で会話試験をすることもありますが、ほかの人と比較して落ち込むことはありません、ご自身の力を出しきってください」

 

とか、

 

「たまに悲観して途中で帰っちゃう方もおられますが、講師の先生方もたいへん悲しみますので、最後まで受けてくださいね」

 

とか、全体的にとても「優しい世界…」という感じのお話でした。

 

「ボールペンで書いてもらうので作文問題は解答用紙がグチャグチャになると思うけど、読めればそれでいいからね」とか。

 

ちなみに、「フリクションボールペン(こすって消えるやつ)も使用可ですが、消す時間がもったいないのでお薦めしません」だそうです。

 

その後、会話試験の面接官となるロシア人の先生方の紹介がありました。

 

「先生方から一言ずつ…」ということで、最初に男性の先生がロシア語で話し始めたのですが、早口で何言ってるんだかさっぱりわかりません。"успехов"(成功を)という単語は聴き取れました(笑)。

まあこんなもんかな…と思っていると、中にはゆっくり優しく話してくださる先生もおられて少し安心。

 

"Ни пуха ни пера."

と先生が言うと、受験者の中から

"К чёрту!"

という声が聴こえてきて、

"Молодец!"

と先生が微笑む、という場面もありました。

 

解説すると、"Ни пуха ни пера."は相手の幸運を祈るときの決まり文句。

直訳すると「(狩りに出かける人に対して)羽一枚も獲れませんように!」という意味で、あえて反対のことを言うことで悪魔が近寄ってくるのを防ぐ、という迷信からきています。

英語で、舞台に上がる人の幸運を祈るのに"Break a leg!"(足を折っちまえ!)と言うのに似ていますね。

 

それに対する返しも決まっていて、"К чёрту!"(悪魔のもとに行っちまえ!)と言います。

 

どちらもお決まりの表現なので、会場がちょっと安心したような柔らかい雰囲気に包まれたように思います。

受験者に対して、かんで含めるようにゆっくりと"Ваш друг."(試験官はあなたの友達だからね、大丈夫よ)と言ってくださる先生もおられて、全体的に優しい方が多いような感じでした。

実際、会話試験のときも先生、ものすごく優しかったです。

優しく導いてくれるからこそ、こちらの準備不足がごまかせず浮き彫りになるんですけどね…。これに関しては、次回詳しく書きます。

 

 

さて、今回はここまで。

ちょこっと書くだけのつもりだったのに、ずいぶん長い記事になってしまいました。このブログにはよくあることです。

 

次回は「会話/読解編」。

そのまた次に「作文/文法/聴解編」をお送りする予定です。

(記事の構成は変更するかもしれません、悪しからず。)

 

仕事で新学期が始まってしまうので、いいペースで更新していけるかわかりませんが、記憶が薄れないうちに書いてしまいたいと思っています。

それと試験対策でやった学習の内容も、まとめていければいいなー。

無理せず少しずつ書いていきますよー。

 

ではまた、近いうちにお会いしましょう。